小さな点から大きな面へ
2025.09.15
みなさん、こんにちは! クラフェス事務局のナガオカです。いつもクラフェスだよりをご覧いただきましてありがとうございます。私たち4人のたよりを読んで、「もっとクラフト作家について知りたい!」「クラフェスの情報が欲しい!」と、どんどん興味が湧いて堪らなくなっている方もいるのではないでしょうか(いてほしいです!)。そんな方におすすめなのが、公式Instagramで毎日更新中の「作り手紹介投稿」。151組もの作り手、一人ひとりにインタビューをして聞いた、貴重な作り手の生の声をみなさんにお届けする企画です! 事前の予習ができて、ブース番号も記載しているのでマップと照らし合わせることもできる、開催当日まで楽しめる投稿になっているので、ぜひご覧くださいね。
さて、今回のたよりでは、私もキモト同様、インスタのテキストでどうしても収まり切らなかったエピソードを綴っていこうと思います。ご紹介したいのは「シオタニミカ」さん。身近な山の整備・剪定した際に出る生木を削って、器や日常の道具を制作している作家さんです。シオタニさんの作品は、赤みがかっていたり、白っぽかったりと、様々な風合いの木材を使用して制作されているのが写真を見ただけでもわかると思います。なんとこの木材は、一つの森から剪定されたものなのだそうです。一つの森にこんなに多くの樹種が存在しているなんて驚きですよね。日本は森林大国と言われていて、国土の7割が森林で、約1,200もの樹種が存在しています。だから、一つの森には何種類もの樹木が存在しているらしいのです。
また、建築材料として杉や檜などの針葉樹林の伐採は行われている中、使える木がたくさんあるはずの雑木林では整備が進まず、木々が密になり、暗くなってしまったりと、動植物が住める環境ではなくなり、住処がなくなったクマが人里に降りてくるなどの問題が発生しています。そんな現状を少しでも良くしたい、少しでも人と動物のどちらも住み良い世界にする手助けになればと、山を明るくするために剪定した木材を使用して作品に展開しているというシオタニさん。
節や割れなどもそのまま残し、活かしているという生木の作品。そういった普通なら避けられてしまうようなものが好きだというシオタニさんは、伐採する木のマイナス面をキャラクター性であり、この木の魅力である」と考えていて、それをみんなに楽しんでもらったり、美しいと感じてもらったりしたいのだといいます。「人も癖があると付き合うのが面倒くさいと思うことがあるが、実はそこがその人の可愛らしさ、その人らしさだったりする。だから木もそれと一緒なのかな。」と語っていました。人でも木材でもその欠点すらも愛らしいと考えるその考え方に感銘を受けました。
クマを器に描いたのは、まずはお客さまに木材を手に取ってもらって、山に興味を持ってもらうため。そこから山に対する知識を得て、自然についてもわかるようになる。シオタニさんは、人々に木工作品という小さな点から、森への興味という大きな面にすべく、この森の現状を訴えかけるべく制作していたのです。
赤裸々に語るシオタニさんからは、「作品を通じて、木材や森そのものを人々に愛してほしい」という思いがひしひしと伝わってきました。ほかにも化学反応が好きだというシオタニさん。木の色つけも鉄と柿渋を混ぜ合わせる手法を使って染めているなど、面白いお話をたくさん聞くことができました。作品を見て、気になったことはぜひブースに立つシオタニさんに直接聞いてほしいと思います。きっとその熱と好きなことに対するまっすぐさに感銘と刺激を受け、自分も何か好きなもののために、環境のために動きたいという前向きな気持ちが生まれてくるかもしれませんよ。
作り手のみなさんからお話を聞く機会を通じて、さまざまな作品が生まれた背景を直接ご本人に聞いてみてほしいと、強く思うようになりました。ぜひ気になる作品に出会ったら、作り手のみなさんに質問してみてくださいね。きっと目から鱗な情報が盛りだくさんで、もっとその作品を好きになれますよ。作り手のクラフト愛、そして私たちの作り手愛がみなさんにどうか届きますように。それでは。