我が家の守り神
2025.09.05
みなさん、こんにちは、こんばんは、キモトです。夏が終わりを迎えつつありますね。暑さも和らぎ、秋が表情を出し始めているなと、ぬるめの風に肌を撫でられながら感じております。私が一番夏を感じたのは、花火大会です。第1号のクラフェスだよりを読んでくださった方はご存じかと思いますが、私の地元は米どころ新潟ということで、行ってまいりました、長岡花火へ! 日本三大花火の1角を占める大型花火大会、今年一番圧倒されました。開始からすでにクライマックスくらいの勢いで、最初から最後まで大迫力で口を開けたまま見ていました。そして多くの人が胸打たれ待ち望んでいるのは、規模感だけでなく、花火1つ1つに慰霊と平和への願いが込められているという背景があるからなのだろうな、と同時に感じました。みなさんの、夏の思い出は何ですか。
さて、本日みなさんにお話したいテーマは「我が家の守り神」です。我が家には、たくさんのクラフト作品があります。全ての作品に、本当に思い入れがあり、1つひとつ「これは何?」と聞かれれば、エピソードをお話できるほどです。その作品たちを、私は「守り神」として我が家で大切に扱っています。人の手から生まれたものは、置いてあるだけでエネルギーを感じさせ、日常にあるだけで作者自身のことやその作品を迎え入れることになった経緯を思い出して、心が満たされるからです。そんな大切な作品の中で、家の中でも特に大切な玄関を守ってくれている作品をご紹介します。
我が家の玄関の守り神は、noriyukiwatanabeさんのオブジェです。山梨県、八ヶ岳の麓に拠点を構え、古材を使用した迫力のある作品を手掛けています。あえて作りこみ過ぎず、木材の良さが生きるような作品が特徴です。私が社会人になって、いつか作品を買おうと決めていた作家の1人です。初めてnoriyukiwatanabeさんの作品に出会ったのは、私がまだ学生のときに、手紙舎 2nd STORYで開催していた個展に行ったときです。小さな灯台や小屋、そこで生活をしているように小さな人々のオブジェが流木の上で小さな世界を織りなしているのを見て、その確立された作品の表現に、今までにない興奮を覚えたことを記憶しています。流木の盛り上がった部分が丘のように見え、くぼみが谷や池に見え、まるで空から地球を見ているように、木の上に世界が生まれているのです。幼いころに、絵本を読んで物語の中に没入していくような、胸の奥底からドキドキと興奮しているのが分かりました。「必ず、作品を迎え入れよう」と、すぐに決心をしました。まさか手紙社に入社するとは、思ってもみませんでしたが。そして、社会人になり我が家にやってきたnoriyukiwatanabeさんの作品はこの作品です。
本当に、本当に、素敵ですよね。私が作ったわけではないのに、すみません。でも、自慢せざるを得ない程に、まるで我が子のように心から愛着が湧いています。noriyukiwatanabeさんの作品は、波打つような流木を使い、丘と谷のように勾配が激しいものもあるのですが、あえて木の動きが激しくない、なだらかなものを選びました。閑散とした世界に、小さな家を照らす光のようにある灯台。余白の使い方が美しく、見ている側に想像する隙間を与えてくれているように感じたのです。最初は居間に飾ろうと思ったのですが、日常生活でたくさん目にする場所に置きたいなと思い、玄関に飾ることにしました。急いで出かけるとき、疲れて家に帰るとき、作品を目にすると、ふっと心が安らぐのです。いつもそっと迎え入れてくれる、大切な、宝物の1つです。あなたの家の守り神は、何ですか。