クラフェスだより

ナカムラ

食卓に“元気”を運んでくれるお皿たち。

2025.09.08

こんにちは、ナカムラです。秋の足音はまだ聞こえないものの、早くも私の中で読書の秋がやってきました。というのもここ数日、『アルジャーノンに花束を』という小説を読んでみたくてたまらないのです。あらすじとしては、知的障がいを持つ32歳のパン屋の店員・チャーリーが白ネズミのアルジャーノンと同じ脳手術を受け、驚異的な天才に変貌するものの、次第に自身の退行の運命を知り悲哀を深めていく……というもの。あらすじだけでも興味をそそりますが、タイトルもまたグッときます。本屋に駆け込んで、今から読むのが楽しみでなりません。

さて、本日お話したいのは、石川県を代表する伝統工芸品・九谷焼を、現代的なデザインに落とし込んで制作している今江未央さん。四季折々の植物や食べ物、日常の景色がアイデアの源なのだそうです。九谷焼というと格式高い印象を持つ方も多いかもしれませんが、今江さんの作品はむしろクスッと笑ってしまうようなユーモアが漂うものばかり。九谷焼の魅力の一つである上絵付け(本焼きした陶磁器の釉薬の上に顔料で紋様を描き、再度焼く技法のこと)に、今江さんらしい可愛らしさが散りばめられています。
※私の家にある今江さんの器たち。中でもお気に入りは苺柄の豆皿といちじくが描かれたお皿。冬にはマグカップも大活躍!

まず、何と言っても性別を問わず心を射抜くキュートな絵柄。私が初めて手にした作品は苺が描かれた豆皿でした。自然光に照らされ、キラリと輝く苺の絵柄がパッと目に入ってきて、瞬く間に心を奪われてしまったのです。普段は古道具などのアンティークに惹かれがちな私ですが、「これは可愛い!」と心を動かされた瞬間を今でも覚えています。そんなこともあって、日々の食卓に並ぶ機会が多いこの豆皿。漬物をちょこんと乗せたり、薬味や調味料を乗せたり、食卓に今江さんの豆皿があるとキュートな絵柄につられて自然と気分が上がるものです(億劫に感じる洗い物をしているときでさえも!)。ご本人の人柄も、ぞれぞれの絵柄、線のゆらめき、色の濃淡などに表現されていると個人的には思っているので、その魅力を味わってもらうためにも、ぜひブースでお話をしてみてもらいたいのです。そうして、いつまでも愛情を注ぎたくなる作品を見つけてもらえたらと思います。
また、お皿だけではなく、今江さんはフラワーベースなども手掛けています。お気に入りのドライフラワーを挿してもよし、季節の花を挿してもよし。食卓の器でも、花器でも、きっと今の自分にぴったりと合う作品に出会えるはずです。伝統に縛られず、九谷焼そのものの魅力を引き出しながらも、今江さんならではのエッセンスを加えた作品に大注目です!