クラフェスだより

ナガオカ

自分自身にも愛を捧げることから生まれた器

2025.09.22

こんにちは! クラフェス事務局のナガオカです。クラフェス開催まで残り12日と、いよいよ佳境となってきました。初開催ということもあり、これまでの手紙社のイベントと比べてもドタバタと忙しい事務局ですが、みなさんに素敵なイベントをお届けするため奮闘しておりますよ。

さて、本日は前回の投稿に引き続きまして、Instagramの出店者紹介投稿で悔しくも書ききれなかった出店者のこぼれ話を綴っていきます。今回ご紹介させていただくのは、陶芸家・長岡亜耶さん。あるクラフトイベントでもお見かけして、同じ苗字で勝手に親近感を抱いていた作家さんなのですが、無事クラフェスでご一緒することができて、とっても嬉しいのです。そして、インタビューで直接お話する機会までいただけて感無量! インタビューを通じて、長岡さんの優しい心持ちに強く惹かれ、「私もこんな人になりたいな」と切実に思うようになったので、そのお話ができたらと思います。

長岡さんの作品は、掻き落としという技法で、「優しい空気を纏ったものが形になれば。」と願いを込めて一つひとつ丹精を込めて制作をしています。長岡さんの創作の源は、「喜び」。大好きな作品づくりができる喜び、無事焼き上がった喜び、作品を手に取ってくれる人を想う喜び、そして自分自身の喜びからイメージが湧き上がるのだそう。

灰釉を使用し、灰のアク抜きに1ヶ月間という長い時間をかけて釉薬を作り出しています。そして、赤土の表面に白い泥を塗り、ゴム印の版を彫るような要領で絵柄を一つひとつ丁寧に削り出します。時間をかけて制作した器の原型を窯に入れたら、綺麗に出来上がるかわからない中、ドキドキと不安が入り混じりながら、出来上がる器を窯から取り出しているのだそう。きちんと完成した時は、「ありがとう」と感謝の気持ちでいっぱいになるのだとか。作り出す陶器の数々について、まるで我が子のように語る長岡さんからは、愛と器やものごとに対する心優しい気持ちが滲み出ていました。
そんな慈愛に満ちた長岡さんは、制作において自分に余裕がなければ、作品に対しても納得ができないし、愛を込めた器が出来ないと考えています。「周りからどう思われているのだろう」と考えてしまっては、自分の考えを見失いがちになります。そこで長岡さんはアイデアを考える時、スケッチブックを開き思いのままに言葉や絵を描き出しているのだそう。たとえば、人との関わりあいの中で、傷つくことがあったとき、どうしたらよかったのかと考えている時、「自分の心に従っていいんだよ」「自由に羽ばたいていいんだよ」と、ふわっと心の中で自分にかける優しい言葉が浮かび上がってくるのだとか。その思いを込めながら丁寧に時間をかけて形にして、手に取ってくれる人も元気になれるようにと制作しているんだそうです。

ないがしろにしてしまいがちな自分の心をまずは大切にする長岡さんは、「手に取ってくださった方の心が少しでも柔らかく、温かな気持ちになれれば私はとても幸せです。」と語っていました。私も長岡さんのように、自分にも相手にも自分が作り出すものにも、もっともっと愛を持って生きていきたいと思うようになりました。インタビューをさせていただいてからというもの、人生の師ができたような気持ちです。

長岡さんのInstagram投稿を拝見すると掻き落とし最中の動画もアップされていて、その繊細な動きと土にさっさっと絵柄が彫られていく様子を見ていると、癒され心洗われる気持ちになるので、ぜひ覗いてみてくださいね。