クラフェスだより

コイケ

使う、とにかく使う、そして手放せない

2025.08.28

こんにちは。昨日も会場となるGIANTS TOWN STADIUMへ打ち合わせに行ってきました。夕方、オープンエアの球場ならではの風の気持ち良さがあって、ここで繰り広げられるクラフェスのきっと楽しいであろう2日間を夢想した次第です! 先週末は「ジャイアンツ音頭」鳴り響く夏祭りが開催されていましたよ。

さておき今日は、この春から満を持して使っているカッティングボード(まな板)さんをご紹介したいと思います。作者は、木工作家の松本寛司さん。愛知県豊橋市郊外にアトリエを構えています。これまで、たくさんの作り手のアトリエやご自宅にご挨拶や取材で伺ったことがありますが、泊めていただいたうえに一家に混じって食卓を囲み、一緒に海で波に乗ったり浮かんだりさせていただいたのは、寛司さんぐらい。「次はいつ行けるかな……」などと、気がつくと思い浮かべてしまうような場所なのです。ひたむきに、人間の営みに左右される木材のあり方や、作家としての矜持と向き合いながら手彫りで仕上げる木の道具。そんな風に制作し続ける姿は、軽やかな人柄に反して重みを感じさせます。そんな寛司さんに昨年春、手紙舎 2nd STORYで展示をしてもらった際、ちょうど探し求めていたサイズ感のカッティングボードを見つけ、購入しました。それからなんだかんだで約1年後、新居に引っ越し広くなったキッチンでようやく使い始めることができました。

寛司さんならではの独特なカーヴを描いたかたち。特に気に入っているのは、横幅が広く、大きな野菜(スイカなども)を切る時にとても便利なところ。そして、使われているナラの木のちょうど良い刃の当たり心地。使えば使うほど、手放せなくなります。立てかけた時に、設置面が極小になることで、水切れが良く痛みにくいというのも考えられています。その設置部分が足のようでもあり、不思議な生き物、精霊のようにも見えてきて、よりバディー感が増すのでした。ちなみに、隣に写っている木ベラも長年愛用しているもので、とにかく握りやすく、丈夫で便利。一見しただけではその辺に売っている木ベラと何が違うのか、見えてこないかもしれませんが、使えば使うほどそのフィット感や操りやすさが実感できてきます。どちらも私にとって、もう料理をするためには欠かせない道具となりました。

2018年の個展には、こんな背丈ほどもあるカッティングボードも並びました。サーフィンを趣味とする寛司さん。自作のサーフボードで漕ぎ出す日はいつになるか、楽しみにしています。