漆の器にナポリタンを乗せる日を夢見て
2026.09.02
こんにちは。「東京クラフトフェスティバル」を担当しているナカムラです。もしかしたら「久しぶり」と感じてくれる方もいるかもしれません。そんな人がいてくれたなら、編集冥利に尽きるというものです。
昨年から始まった通称“クラフェス”への熱い愛を綴るこの「クラフェスだより」。クラフェスとともに幕を閉じた……かのように思えましたが、もちろんそんなことはありません! 新たな顔ぶれとともに、ものづくりの真髄の一端に触れ、そこで感じた魅力を余すことなく届けていければと思っています。
さて、前置きはそんなところにしておいて、今日はクラフェスのイベントリーダーを務める私が、「会場で手に入れたい!」と願ってやまない作品をご紹介します! 今回も陶芸、ガラス、金工、木工、革など、全国津々浦々から、クラフトを慈しみその尊さを作品に閉じ込め、届けてくれる珠玉の作り手が集まりました。フェスには欠かせない、フードエリアもパワーアップ! “B”EERと“B”URGERのお店が軒を連ねる「B & Bフェス」も新登場します。そんな目移りしてしまうほどの作り手がひしめく中で、私が特に気になっているのは、ずばり、木の器や漆器、木製カトラリーを手がける木工作家・菅原博之さんの作品です。
少し話が逸れますが、私は作品自体に惹かれるというよりも、その作家自身の人間性に惹かれることが多いような気がしています。あくまでも私個人の考えですが、クラフトの作品は、その作り手の“人間味”が投影されたもの、だと考えています。むしろ、それこそがクラフトの醍醐味のように感じているとさえ。
菅原さんの作品もまさにそうで、菅原さん自身の人間味が作品の至るところに散りばめられているように感じます。作品の魅力を語るには、まず、初めてお話をした瞬間まで遡らないといけません。
初めてお話をしたのは、公式Instagramに記事を載せるため、インタビューをしていた時でした。オンラインだったこともあり、その時の菅原さんは画面をオフにしていて、お顔を映していませんでした(というように記憶しています)。上手く質問ができているのか、少しでも制作について掘り下げられるような会話ができているのか、と、一人悶々と反省していたことを昨日の出来事のように思い出します。恥ずかしながら私はインタビューに慣れていなかったもので、よりその場面を鮮明に覚えているのです。お互いに顔を合わせてご挨拶をしたのは、クラフェスの会場。「ようやく直接お話ができた!」という感動と、エネルギッシュな奥様の笑顔が印象に残っています。
菅原さんはご自身で作ったお皿やカトラリーを使って料理を盛り付け、家族とともに食べて、洗い、片付ける、という暮らしの一連の流れを通して、食卓に並ぶ“道具”としての完成度を追求しています。「気がつけば手にとっている」というほどに、生活に溶け込む道具の数々。そんな道具を生み出す菅原さんのブースならではの試みの一つである、食卓に木の器や漆器を盛り込んだイメージを載せた写真集は見逃せません。木の器や漆器は「日常使いが難しそう」であったり、「和食に合わせるもの」といった固定観念を持つ方も多いのではないでしょうか? そんな方でも、その写真集に目を通せばその写真集に目を通せば「こんな料理を盛り付けても良かったんだ!」という驚きや新たな発見がきっとあるはずです。これも、生真面目で実直な菅原さんと、ともに食卓を囲む奥様の二人だからこそ成せる試みだと感じています。かくいう私は、さまざまな喫茶店のナポリタンを食べ歩き、家でも頻繁に作るほどに大のナポリタン好き。“ナポリ”と名が付くパスタだけど、実は発祥が日本というナポリタンを、菅原さんの作る漆のお皿に盛り付けて食べるという夢を、今年は叶えてみせます。
こんなことを書いていたら、早速ナポリタンが食べたくなってきたような。漆の器にベストコンディションのナポリタンを盛り付けるために、より腕を磨いておくとしようかしら。みなさんもぜひ、会場で菅原さんのブースを訪ねてみてくださいね。
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