受け継がれる思い
2025.09.25
みなさん、こんにちは、キモトです。急に秋めいてきましたね。秋服登場が早まるのは嬉しいのですが、去年よりも気温の変化が激しく、日本もいつか四季ではなく二季になってしまうのかな、なんて物思いにふけりながら、日々のおやつのサツマイモを愉しむ日々を過ごしています。
さてさて、本日お話させていただくテーマは作品を通して「受け継がれる思い」です。先日、「金属を使って日常を記録する」作り手、望月若子さんとお電話をしていました。望月さんのお母さまのご出身が石川県らしく、私も母が石川出身なので思いがけない共通点を見つけ、盛り上がっておりました(小松駅が、新幹線が開通したことで改装されピカピカになった話など)。色々お話させていただいたのですが、望月さんが語ってくれたご自身の作品への思いの中に、非常に感銘を受けたエピソードがありました。
ご自身の幼少期の思い出と、ずっと心にある空想の中の思い出、そして大人になって得た感性を作品に落とし込んでいるという望月さん。今まで過ごしてきた中で、酸いも甘いも含めた様々な記憶が制作をしているときにあふれ出し、作品として完成したときには、綺麗な思い出が詰まったものとして完成するのだそうです。まるで望月さんの物語が紡がれたような作品だな、とうっとりと聞いていたら、こうお話してくれたのです。「私の大切な思い出を乗せた作品が、買ってくれた方のもとで、また新たな思い出を作っていく。例えば海を渡っていくこともあれば、親御さまからお子さまへ受け渡されることもある、アンティークとなって時代を翔けることもある。私の過去の人生だけでなく、様々な人の未来の人生を、生み出した作品が伴にしていく。そう思うと本当に感動しませんか?」と。
私は、なんて美しい感性なのだろうと、お話を聞いた瞬間に胸がいっぱいになりました。作品が過去と現在、そして未来を‟生きていく”。その事実が、作り手にとってどれほどかけがえのないものか、どれほど特別なことなのか、考えただけで心に深く響くものがありました。これぞ、1から手で生み出された作品を持つことの醍醐味ではないでしょうか。1人ではない、誰かの思い出を運んでいく。そんな尊い作品との出会いを、より一層大切に噛みしめていきたい、そう強く思いました。