とく
東京
Q.陶芸の道を志すこととなったきっかけや思いを教えてください。
一番若い記憶では、幼稚園の先生に「絵を描くのが本当に好きなんだね」と言われた瞬間です。なんとも言えない自信と喜びで満ちたのを覚えています。「絵と私の関係」を意識し始めてからは、どんなに人と足並み揃わなくても「私の価値はここにある、特別なんだ」と信じながら育ってきました。とはいえ、美大を卒業したタイミングで (その自尊心が邪魔をして捻くれ) 絵も描きたくないし会社員にもなりたくないと悩み、山奥の畑で働いていた時期もあります。結局いまはモノづくりをしていますが、正直「肩書き」はいらないと思って生きています。様々な経験で得たものを繋ぎ、いつか「美味しいごった煮人生」になることを夢見ています。
Q.どんな瞬間に、どんなものやことからアイデアを引き寄せていますか?
「郷愁」を元に作品がうまれることが多いです。日頃からアイデアが溢れて止まらない! というより「この季節と言えば…」と四季をヒントに記憶を辿る作業から始めます。だいたいの行き着く先は、幼少期に過ごした祖父母の家や、野草の名前を教えてもらった畑で見た景色です。無意識にそこに辿り着いてしまうことが、誰もが抱く「郷愁」の魅力なのだと思います。
Q.音楽、道具、食べ物、空間など、手を動かす時に欠かせないものを教えてください。
まずは深煎り珈琲です。やり始めると時間を忘れて集中し体がバキバキになるので、息抜きを大事にしています。気分転換を兼ねてお菓子づくりをする日もあります。これはテキパキと手早くやる必要があるので、作画や装身具作りとは違う、心地よい集中力がうまれます。焼いてる間にまた仕事を進め、良い匂いがしたらおやつタイムです。最近は自分に必要な道具もよく分かってきたので、健康維持も兼ねて環境を整えているところです。いつでもゴロンとできる畳も欠かせません。
Q.「紐解く」から生まれた屋号「とく」の誕生にまつわるエピソードを教えてください。
「覚えやすく呼びやすい」に重点を置きつつ、自分の芯に触れる言葉を探っていたとき「全てのこんがらがったことは、紐解いていけばいい」というスタンスで生きていることに気づきました。ほぐして糸口が簡単に見つかることもあれば、余計に絡まってダメな時は一度手を放せばいい。自問自答を続ける面白さを諦めない、という思いを込めています。今では沢山の方に「とくさーん」と呼んでもらい、お気に入りの屋号です。
Q.様々な土地を旅したとくさんにとって、特に印象深く作品に大きく影響を与えたと思える場所はどこですか?
4年半移住していた北海道十勝です。大自然と人々は、20代に青い私に、厳しさと優しさを余すことなく教えてくれました。自然への敬意、判断を間違えた時はすぐに謝り、感謝は何度伝えても良い、結局どんな時も自分の行動は自分が見ている。「今までの当たりまえ」をふるいにかけ、指の間に残った自分の本質を思い知る…とても大事な時期でした。そんなことを意識して作り始めたものは、手にする人々にダイレクトにその姿勢が伝わるのだと、最近つくづく思います。北海道で得た一生ものの教訓です。
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