谷内亮太
京都
Q.金工の道を志すこととなったきっかけや思いを教えてください。
学生の頃はもともと陶芸を目指していましたが、卒業後に真鍮の板を切ってアクセサリーを作り、それを買ってもらって生活できるようになったときの喜びがすべての原点です。
その「作る楽しさ」と「生きること」が直結する感覚が面白く、気づけばそのまま今までずっと作り続けています。
Q.どんな瞬間に、どんなものやことからアイデアを引き寄せていますか?
動植物をはじめとする自然物をモチーフにすることが多いです。そして、それらの姿かたちを単なる写実ではなく「象徴」として捉え、自分や人類共通の内なる世界を表現するための媒体としてアイデアを引き寄せています。
Q.音楽、道具、食べ物、空間など、手を動かす時に欠かせないものを教えてください。
まず大前提として、しっかりと手入れされた「道具」と、整理整頓された空間が欠かせませんが、散らかりすぎていると集中できないからです。しかし実際はよく散らかっていることも多いです。制作中のBGMについては、状態や作業の内容によって使い分けています。
* 集中したい時: オルタナティブ、ポストロック、アンビエント、ヒップホップなどを聴く
* リラックスして手を動かしたい時: YouTubeを観なら制作
* 極限まで集中して納期に追われている時: あえて完全な無音にする
など状況により変わります。
Q4. 時間や空間と万物との繋がりを作品の中に落とし込んでいるのだと解釈していますが、この世の森羅万象が私たちの心にどう作用していると感じていますか?
私たちの心には、「エゴ」と本来の「自己」の双方が存在していると考えています。
エゴとは、私たちが「これが自分だ」と思い込んでいる表層的な自我のことです。しかしその奥には、そうではない本来の自己が存在しています。その本来の自己の領域は他者や世界との境界線が曖昧で、まさにそこにおいて私たちは万物と深く繋がっているのではないかと感じています。
Q5. 作品を制作する中で、自然と通じ合えたと思った瞬間のエピソードを教えてください。
夜空の星を見上げていると、ふと「自分が今どこにいるのか」という感覚が溶けて分からなくなる瞬間があります。それが自然と一体となった感覚なのだと思います。
ただ、その感覚は必ずしも雄大な自然の中にいなければ味わえないものではなく、家の中にいても、そしてアトリエで制作に没頭している時でも、心の根っこでは全く同じ感覚の領域がはじめから存在しています。日々の制作やふとした瞬間に、その内なる繋がりと一体感にハッと気づけた時こそが、自然と深く通じ合えたと感じる瞬間です。
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