sie(武内陶房)
茨城MAP/68
手に取る方が思わずにっこりしてしまうような、使うたびに気分が上がるような大人可愛い作品を作っていますので、ぜひ、手に取って笑顔になっていただけたら嬉しいです。
Q.陶芸の道を志すこととなったきっかけや思いを教えてください。
幼い頃から“何かを作る人”になるのが夢でしたが、最初から陶芸を目指していたわけではありませんでした。10代、20代の頃は何を作りたいのかわからず、探し求める日々を過ごし、一度はアパレル関係の仕事に就きました。しかし、日々を過ごす中で「陶芸家である父の代で終わらせてしまうのは寂しい」「やっぱり自分の手から何かを作り出したい」という思いが次第に膨らんでいったのです。
そんな折、思わぬ大病を患い、休職を余儀なくされました。その後、体が動かせるようになった時、私が戻ったのは父のいる陶芸の世界でした。今は陶芸仲間や先輩方に支えられながら、ここが自分の居場所だと実感しています。スタートが遅かった分、できないこともたくさんありますが、その中で自分にできること、自分にしかできない表現を模索する毎日です。
Q.どんな瞬間に、どんなものやことからアイデアを引き寄せていますか?
なぜか夜寝ている時や、作品を作っている最中に思いつくことが多いです。その他にも、陶芸とは全く関係のない、犬の散歩中に見た景色や鳥の姿など、本当にふとした瞬間にアイデアが湧いてきます。
Q.音楽、道具、食べ物、空間など、手を動かす時に欠かせないものを教えてください。
仕事場では父が昔からずっとラジオをつけているため、常に「音」がある環境がマストです。音楽や人の話し声などがない無音状態での作業は、おそらく無理ですね(笑)。
また、鳥が好きなので、鳴き声が聞こえるとわざわざ外へ出て聴き入ってしまいます。「どんな美しい鳥が鳴いているのだろう」と、ついつい姿を探してしまいますね。
Q.表面を削って異色の土や釉薬をはめ込む象嵌による絵付け。この技法ならではの表現の手応えを教えてください。
昔から下書きなしでペンで線画を描くのが好きで、私の世界観を表現するには細い線が必須なんです。最初は化粧土を塗り、引っ掻いて絵を描く「掻き落とし」という技法を用いていたのですが、細かい部分がどうしてもうまくいきませんでした。試行錯誤の末に今の描き方に辿り着いたのですが、それが「針象嵌」という技法だったということは、実は最近になって知りました(笑)。
針状の道具で引っ掻き、その溝に絵の具を乗せていくため、非常に手間がかかります。線が髪の毛より細くなることもあるほどです。それでも、この技法のおかげで自分の描きたい繊細な表現ができるようになったので、手間を惜しまず頑張るしかありません。
Q.数ある陶芸の里の中でも笠間で作陶することの魅力、良さは何でしょうか?
笠間は自然豊かで、陶芸家もたくさん集まる街です。年に1回大きな陶器市も開催されるため、作家として活動していくにはとても恵まれた環境だと思います。何より、私自身が生まれ育った場所でもあるので、友人も多く、安心して生活しながら制作に打ち込めるのが大きな魅力ですね。
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