小林優衣
岡山
植物や動物など日常のなかにある心惹かれた事象をもとに、真鍮や銀を素材としたブローチなどの装身具を制作しています。自分の感覚を信じてつくったものが、身につけた人の日々に彩りを添えるものになると嬉しいです。
Q.金工の道を志すこととなったきっかけや思いを教えてください。
札幌市立高等専門学校在学中、石留めでネックレスをつくる授業がありました。どんなデザインにしようかと考えていくなかで、学校の図書館に色々なジュエリーの本があることを知りました。元々彫刻を観ることが好きだったので、“身につける彫刻”と言われるジュエリーの世界にすぐ引き込まれました。
石留めの授業では、子どもの頃から好きで集めていたシーグラスを使ってネックレスをつくりました。自分なりに工夫してつくった爪の形や、真鍮と銅を組み合わせたパーツを先生にも褒めていただけたことがとても嬉しかったです。ただ好きで持っていたシーグラスを活かせたことにも、それまでにない手ごたえを感じました。「この分野なら自分らしい作品が制作できるかもしれない」と思ったことが、この道を志したきっかけです。
Q.どんな瞬間に、どんなものやことからアイデアを引き寄せていますか?
子どもの頃から好きだった動物やぬいぐるみ、お散歩中に目にした植物を元にデザインを考えています。抽象的な形のものは、実際に手を動かしながら思いついたものや、やはりこちらもお散歩している時にふわっと思い浮かんだ形を一度絵に描き留めてからつくることが多いです。
Q.音楽、道具、食べ物、空間など、手を動かす時に欠かせないものを教えてください。
何か音を聴いていないと集中できないので、その時の気分で音楽を流しながら歌を歌ったり、動画やスポーツ中継を流したり、最近は相撲中継を流したりもしています。
Q.「シンプルすぎず、おもしろみのある形」を意識しているとのことですが、作品を形作る中で実際に「面白い!」と感じたエピソードを教えてください。
特に抽象的な形をつくる時に感じることが多いですが、同じような部品でつくった形でもちょっとした大きさや模様の違い、板材を使うか線材を使うかでも全く違った印象になるのが面白いです。制作当初からつくっている「実と枝ブローチ」は抽象的な形で十数種類ほどバリエーションがあるのですが、実の個数や枝の長さで少しずつイメージが変わるので、これからも新しい形が生み出せるのではないかと思っています。
Q.北海道から岡山県へと拠点を移し、それぞれの土地の空気感の違いや環境の変化が作品づくりに影響を与えた部分はありますか?
以前よりももっと、考えすぎずに自分の好きな物をどんどんつくっていこうと思えるようになりました。それは今思うと思いきって拠点を移したことがきっかけかもしれません。生まれた時から一度も北海道の外で暮らしたことがなかったため、岡山ではまるで冬がなくなったかのような感覚で、淡々と時間が過ぎていきます。北海道にいた頃は天候に気持ちが引っ張られてしまうところがあったのですが、今は以前よりも安定して制作に向き合えている気がします。また、生えている植物が全然違うので、四季を通して日々新しい発見があり、制作する上でとても良い刺激になっています。
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