金潤知 Studio

東京
  • 陶芸・粘土
金潤知 Studio

韓国で白磁を制作しているキム・ユンジです。ろくろを使い、一点一点手作業で器を制作しています。作品に使用する釉薬も自分で調合し、自然の中で見つけた石や木、海などの風景の記憶をもとに、“自然の欠片を暮らしの中へ持ち帰る”ような感覚を大切にしています。

手に取った時の重さや口当たり、使い込むことで少しずつ変化していく表情も、器の魅力の一つだと考えています。毎日の食卓や暮らしの中で静かに寄り添い、長く愛されるものになれば嬉しく思います。今回の東京クラフトフェスティバルでは、石ころをモチーフにした「池」シリーズや、小さく愛らしい器、カップなどをお持ちしますので、ぜひお手に取ってご覧ください。

Q.陶芸の道を志すこととなったきっかけや思いを教えてください。
大学で陶芸を学び始めたことが、この道を志すきっかけでした。陶芸を学ぶ中で、土、水、風、火という自然の要素に、自分の心を重ねて初めて作品が完成することに気づき、その奥深さに魅了されました。土に水を加えて形をつくり、風と時間の力を借りてゆっくり乾燥させ、1280℃という高温で焼き上げることで、一つの器が生まれます。そうして完成した器は、何百年、何千年という長い時間を超えて残り続ける存在になります。

この地球に長く残るものをつくる作り手として、自然の静けさや時間の流れを映し出す白磁を表現したいと思い、日々制作しています。私の作品が、暮らしの中で静かに寄り添い、眺めたり使ったりするたびに心が少し穏やかになるような存在になれば嬉しく思います。

Q.どんな瞬間に、どんなものやことからアイデアを引き寄せていますか?
自然の中を歩いているときに、一番多くのアイデアが生まれます。湖の水面や雪の積もった森、木の葉がつくる模様、川や海で見つけた美しい石など、自然の風景を眺めたり、一つひとつの自然の造形をじっくり観察したりすることが、私の制作の出発点になっています。
また、面白い形や質感を持つ石や木の実、松ぼっくりなどを拾ってアトリエに持ち帰り、身近に置いて眺めながら、新しい作品のイメージを育てています。

Q.音楽、道具、食べ物、空間など、手を動かす時に欠かせないものを教えてください。
音楽を聴いたり、おいしいコーヒーを飲んだりすることは、制作中の楽しみのひとつです。でも、私にとって何より大切なのは、制作を支えてくれる場所です。今のアトリエは自然にとても近く、季節の移ろいを目で見て、香りで感じ、音で楽しむことができます。毎日のように自然から新しいインスピレーションをもらえるので、制作する時間そのものを楽しんでいます。

Q.自然の中に身を置くときは、何をして何を感じていますか?
自然の中では、特別なことをするというよりも、ゆっくりと歩きながら、石や木、水がつくり出す風景を眺めています。同じ場所でも、季節や時間、光や天候によってまったく違う表情に出会えることに、いつも魅力を感じています。

その風景の中で静かに過ごしていると、自分も自然の一部になったような穏やかさを感じ、複雑だった思考も少しずつ静まっていきます。自然の中で感じる静けさや安らぎを作品にも込め、作品を眺めたり使ったりする方にも、その感覚が伝われば嬉しく思います。

Q. 石を用いた「池」シリーズは、どんな環境で、どんな瞬間に生まれたのでしょうか? 
「池」シリーズは、ある日出会った静かな風景から生まれました。穏やかな湖に小さな岩島が浮かんでいる景色を眺めていると、不思議なくらい心が静まりました。そのとき、水と石が織りなす風景は、昔から人の心を静めてきた景色なのではないかと感じ、その風景を暮らしの中へ持ち帰りたいと思ったことが制作の始まりです。

川や海で集めた砂を土に混ぜ、小さな岩島を思わせる造形をつくり、小さな湖や池を思わせる青い釉薬と組み合わせることで、小さな自然の風景を表現しています。最近では、冬に凍った水面に静かに雪が積もる風景を表現した「池」シリーズも制作しています。