Dear nelsodos
東京
フリルや布の流れを思わせる造形、不揃いさや少しの違和感など……。完成されすぎていないからこそ生まれる、人らしい空気感を大切にしています。
作品づくりの中で意識しているのは、“装うためのもの”というより、日々の感覚にそっと寄り添う存在であること。朝の光や季節の空気、誰かとの会話や旅先で見た景色のような、小さな記憶と結びつく装身具を目指しています。
心の片隅に残る、少し切なくて、少しユーモアのある世界を、ぜひ手に取って感じていただけましたら嬉しいです。
Q.金工の道を志すこととなったきっかけや思いを教えてください。
私はもともと、装身具の修理に携わっていました。壊れたものを直す仕事の中で、金属という素材の面白さや、その柔軟性に惹かれていきました。また、長い年月を経た装身具が、人から人へと受け継がれていく様子を目の当たりにし、ものが大切にされ続けることの尊さを感じるようになりました。時を重ねても色褪せることなく、誰かの日々に寄り添い続けるもの。そんな装身具を自分の手でも生み出したいと思ったことが、制作の道を志したきっかけです。
Q.どんな瞬間に、どんなものやことからアイデアを引き寄せていますか?
作業の中で着想を得ることが多いです。何年も前に作った作品や、端切れのようにアトリエで眠っていた小さなカケラたち。そんなものを無造作に並べたり、手に取ったりしているうちに、思いがけない組み合わせが生まれることがあります。新しいアイデアを探しに行くというよりも、ずっとそばにあったものたちが、ある日ふと新たな息吹をまとって現れる。そんな感覚に近いかもしれません。
Q.音楽、道具、食べ物、空間など、手を動かす時に欠かせないものを教えてください。
作業に欠かせないものは、チョコレートとコーヒーです。自他共に認める大の甘党で、毎日チョコレートを食べています。やる気を出したい時や、作業の区切りをつけたい時にも欠かせない存在です。また、制作中はiPadで映画や映像を流していることもあります。とはいえ、じっくり見ているわけではなく、ずっと一人で作業をしているので、どちらかというと環境音を聞いている感覚に近いです。人の話し声や街の気配が流れていると、ひとりではない気がして、どこか落ち着くのかもしれません。
Q.屋号の元にもなった物語『ネルソドス城の人々』から、作家活動にあたって特に影響を受けたエピソードを教えてください。
『ネルソドス城の人々』には、綺麗な世界と切ない世界が同時に息づいています。物語に登場する人々は、少し風変わりで、周囲から理解されにくい存在として描かれています。けれど、その一つひとつの行動にはちゃんと意味があり、やがて大きな価値へと繋がっていきます。特に心に残っているのは、主人公たちにとって装いが単なる飾りではなく、自分らしさを表す誇りや自尊心として描かれていることです。人からどう見られるかではなく、自分が何を大切にしたいのか。そして、それを持ちつづける力強さ。その感覚は、今のものづくりにも大きな影響を与えています。
Q. 「大人になっても少女のような心を持ち合わせたい」という思いを体現するような最近の心のときめきは何でしょう?
仕事や子育てに奮闘する中で、ふと大切な気持ちを置き去りにしてきてしまった自分に気づいたことがありました。そんな時、昔の手紙や日記を読み返し、一途に心を揺らしていたあの頃の感覚に、今を生きるヒントが隠れているように感じました。大人になる過程で一度手放しかけたその感覚こそが、「大人の中の少女」という装身具に込めている大切なメッセージです。最近の私がときめいたことは、台湾での出店です。初めての場所へ飛び込むことは勇気が必要でしたが、その中で、自分が思っていた以上に新しい出会いや変化を楽しめることに気づきました。まだ見ぬ世界に心を動かし、一歩踏み出せる自分がいること。そして、まだまだ冒険をしていいのだと思わせてくれた出来事でした。
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